エスキモーロール(6) q式スイープロール
誤解を恐れずに言うならば、CtoCロールとスイープロールは全く違う動き。CtoCはねっころがったパパを転がすのと同じ。対してスイープロールは、ユニバーサルジョイントのように軸を変換する動き。

垂直軸で回転する運動を、水平軸で回転する運動に変換する動きを意識すると、スイープロールでは、ヒップスナップを全く意識しなくてもロールが完成する。(もちろん、ヒップスナップを合わせて使ってもいい)。
珍しく図解にチャレンジしたので、ヘタクソなどと言わずにまぁ見てよ。

図1-1:沈した状態
この図は、沈した状態を上から見た図。彼はこの状態で、いわゆるロールの初期状態「セット」をしているはずなのだが、このままではわからないのでカヤックをスケルトンにしてみよう。

図1-2:沈した状態
とんでもなく、あられもない姿が現れた。さて、スイープロールでは、この状態から体を水平に回転させていく。このとき、腰から上の上半身は、常に空を向いた状態を意識する。最初から最後まで、完全に上を向いていることがとても重要。

図1-3:体を回転しはじめる
図のように上半身を回転しはじめる。

図1-4:回転の限界?
このくらいまでは、体の柔らかい人なら回転するかもしれない。

図1-5:体がねじれる
ここまで回転したら、多分骨折を疑った方がいいだろう。ありえない体の動きだが、上半身の回転の仕方はわかってもらえるだろうか。
「こんな回転はありえない。アホちゃうか。」
そう!だから、ロールが成功するのである。もう一度見ていこう。

図2-2:沈した状態
セットした。

図2-3:体を回転しはじめる
先ほどと同じように体を回転しはじめると、体の回転に合わせて、カヤックもちょっとずつ起きてくる。なぜなら、上半身はムリな方向に回転しているため、下半身は楽になるために楽な方向へ回転するのである。

図2-4:体が回転するとカヤックも起きてくる
上半身を図のように回転することによって、上半身と下半身の間にありえないねじりが生まれてくることは先ほどわかった。この「ありえないねじり」を解消しようとして、下半身も自動的に回転してしまい、艇を起こす方向に動くのだ。
このとき重要なのは、胸は常に空を向いているように意識すること。胸が水中を向いてしまうと、せっかく溜めたねじりの力が艇を起こす力にならず、ムダにヒップスナップをしなくてはならなくなる。

図2-5:そのまま体を伸ばしていく
胸はずっと空を向いたまま。パドルの支えがあるから体は沈まない。パドルを動かすのではない。上半身を回転させるのだ。ここまで伸ばしていくと、もうカヤック自身が自らの復元力で戻ろうとする。それに身をゆだね、あとは上半身をスターンに乗せるといい。

図2-6:スイープロールの完成
この絵ヘンですね。ハハハ・・・なんでパドルがそこにあるねん。今度書き直しますね
ここへきて、体の不自然なねじれがやっと取れた。体がしっかり伸びて、やっと落ち着いた。ヘタクソな絵も描き終わり、やっと落ち着いた。
上半身が回転することによる不自然な体のねじれ。そしてそれを解消するために生じる下半身=カヤックの回転。これが、スイープロールによる「軸変換」。
もちろん、途中で意図的に足を蹴り出し膝を上げることによってカヤックは起きやすくなる。誤解されやすいのだが、ヒップスナップをしてはならないわけではない。意識的にヒップスナップをしないようにすると、カヤックをわざわざひっくり返す方向へ体が勝手に動いてしまうため、途中でヒップスナップもするのだと思ってもらってもいい。
しかしあるとき、全くヒップスナップを意識しなくても勝手に起きてしまう瞬間が訪れる。そのとき、あぁ、こういうことか、と思っていただけると幸いである。




