エスキモーロール(9) ハンドロール
このハンドロールというモノは、一体何のためにあるんだろう。パドルが流出して沈したときにするのだろうか。そんなシチュエーションがあるのだろうか。リバーカヤッカーとしてはパドルは決して離さないモノだ。パドルを持っていることによってどうしても命が危険なときに仕方なく離すもの。だったら、別にハンドロールなんてできなくても・・・。
その問いは、「なんでバウステーションなんてするの?」とか「なんでカヤック漕ぐの?」という問いと同じだ。いいじゃん。楽しいんだから。なんかうれしいんだから。でも、そのくらいできる心の余裕が実は他のロールの成功率をグッと上げるに違いない。
できてしまえば意外とカンタン、ハンドロール。いろんな練習の方法があるだろうけど、私ができるようになったときの練習方法を紹介しよう。バウステーションなんかよりよっぽどカンタンなんじゃないか?
1.
練習モードでは、まずは浅いところを探そう。ひっくり返れる深さは必要だが、手をついて起き上がることができるようなところ。そして、以下の動作を手をついてやってみよう。
2.
うつぶせになるように沈する。練習モードでは、手をついてそっと沈しよう。浅いところで勢いよく沈するとケガのモト。
例によって、わかりやすいようにスケルトン。こんな格好になるはずだ。
3.
右手を底についてカヤックの横に体を伸ばす。水面に向かって左手を伸ばし、顔を水面に出してしまう勢いで体を乗り出そう。このとき、体の浮力を感じ、艇が多少ナナメになっていることを感じよう。
4.
よーい、ドンで右手を支えにしてカヤックを起こしにかかろう。底を右手ではじいて、それを支えに左足を蹴り込み、体の下にカヤックを持ってくる。それに続いて、左手を大きく左に振って反動をつけよう。
5.
もう、殆ど起きている。カヤックのバウからスターンに伸びる回転軸を意識して、その回転軸の中に自分がいるような気分で頭をスターンにつけよう。もし足りなければ、右手でハンドスカリングをして補おう。
6.
ここが決め手。起き上がっても、体はすぐには起こさない。起きたヨロコビに浸り、余韻に身を任せよう。この時間は長すぎてもみんなどっか行ってしまうし、短いとカッコヨクナイ。
7.
さて、今までは手をついてやってみた。今度は手の届かない、ちょっと深いところでやってみよう。もし失敗したら、平泳ぎで手の届くところまで泳いで来よう。手がつけば、今まで練習したことが生きてくるはずだ。
3.では、右手も左手も頭も全部遠くの水面へ向けて乗り出そう。両手でハンドスカリングをして、水面に近づくのもオッケー。焦らず、体が浮いてきて艇が傾くのを感じよう。
4.では、右手はできるだけ水面近くに伸ばす。右手が沈む前にカヤックを起こしてしまおう。また、慣れてきたら左手の反動は使わず、左手はハル(カヤックの底)に回したまま起こすとなんかすごいっぽい。さらに、両手で水を叩き、その後左手を反動に使うのもよい。
その昔、バックデッキ地球ロール~♪とか言って手をついてくるっと回って遊んでたんだけど、なんか手をつかなくてもできそうな気がしてきて、やってみたら何度か目に出来ちゃった、というわけ。
できたところで「箔が付く」以外にはあまり効用にお目にかかれないが、艇のロールのしやすさの判断には使えるかも?むしろそれより、この練習過程で手をついてでも起き上がることを覚えると、パドルが底に当たってセットできないような浅い瀬で沈してしまってもなんとか起き上がることができるようになる。しかし流れの速いところで手をつくのは危険が伴うので、顔の保護に専念した方がいいかもしれない。
その他、ハンドパドルを使って練習するのもいい。シーカヤックではデッキコードにハンドパドルを挟んでおけるので、失敗してもすかさず取り出してロールすればいい。そのくらいの余裕がつくとどんな状況でもロールできるようになる。ハンドパドルがなければ、分割式のパドルをデッキコードに挟んでおいて、失敗したときのリカバリーに使うといい。スペアパドルはバウデッキ!と思うようになるかも。
このスターンに反って起きるハンドロールができたら、バウに頭をつけてフィニッシュするハンドロールなども挑戦しよう。
ハンドロール自体より、それを練習することによる心の余裕が今後効いてくるハズ。ぜひ挑戦してもらいたい。
コメント
今回のは頭に入りました。1,2回の練習が生きてるなぁ。
すぐにでも練習したくなりました
おっと書き忘れた。
説明文、わかりやすく書いていただきありがたいです。
今夜は月明かりで練習ですか!
はじめまして。
こちらの記事見てイメトレして挑戦したらハンドロールできました。
どうもありがとうございます~♪
いたぽんさんコメントありがとうございます。
コメント返したつもりで返していなかったようで・・・。
すみません。
お役に立てたようで光栄です!