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10/11~12 小豆島ラウンドトレッキング

 10/11~12は、小豆島ラウンドトレッキングに参加しました。本来14日までの3日間のツアーでしたが、僕は途中でリタイヤとなり、たまたまそこにいた漁師さんに助けられました。

 参加の皆さん、最後までご一緒できず申し訳ありません。師匠、漁船を呼び止めてくれてありがとうございました。助けて頂いた漁師さん、本当にありがとうございました。


 なんて書くと遭難したみたいだな。まぁことの顛末は徐々に明らかにしていくことにしよう。そんな大げさなことはないけど。

 小豆島一周に参加するのは初めて。この島のでかさたるや周防大島をしのぐ大きさだとか(一周の距離は大島の方が長いのかな?)。到底漕げる距離じゃないと思っていたので、今まで尻込みしていたわけだ。でも徐々に経験を積んでいって、一人で半日で35kmくらい漕いだこともあるし、キャンプツーリングも3泊4日までなら経験済み。そろそろ行っても足手まといにはならない程度になってるんじゃないかと思えるようになってきた。

 早朝7時過ぎ。遥か遠くに霞んだ小豆島に向かうのは5名のカヤッカー。師匠をはじめ、65歳からシーカヤックを始め68歳で一周に挑戦するAさん(だがしかしマラソンランナー・ダイバーでもあり僕はついていけない)、春にシーカヤックを始めたばかりかアウトドアの経験もなかったというのに怒涛の練習で既に追い越された感のあるWッキーさん、最近お忙しくなってなかなか来られないけど実力派先輩カヤッカーのMさん、そして師匠に僕の5人。本当はもっともっと参加予定だったそうだけど、残念ながら直前で来られなくなった方々が多数。そんな方たちの怨念を背負って?早朝出航した。

 まだ見ぬ小豆島の海はどんなだろう。そこへ行くために、まずは、まだ経験したことのない長さの海峡横断をしなければならないのであった。

 波と風は若干ある程度。この長さになると、途中で何かあったときどうなるだろう?とか考えてしまう。実際もうこの程度では何もないんだろうけど、万が一、何かあったら、すぐに上陸できない恐怖感っていうの、閉所恐怖症ならぬ海峡恐怖症とか航路恐怖症とかそういうのかな?少々の波は平気だけどこういうのがまだ怖いと感じる。

 でもやっぱり何にもなくて、大型船の航路ではあるが頻繁に通過するわけでもないし(逆に船が少ないと航路がどこかっていうのがわかりにくいのが嫌な感じだねぇ)、淡々と漕いだらいつの間にか島が近くなってきていた。9km弱の海峡を1時間半かけて横断した。漕げば進むし、いつか渡れるというあまりにもカンタンで単純なことをやっと理解できた気がする。

 そこからしばらく逆潮。中潮なのに干満差は小さくて、きっと大した影響はないだろうと踏んでいたのだけど、やはり岬や島の端っこでは結構な潮流があるらしい。川を遡るようにして、土庄港へついた。

 土庄港は小豆島では一番大きな港らしく、ひっきりなしにフェリーが往来していた。ここを横断するのはちょっと怖い。なんかやたら速い奴も来るし。

 追い波に乗って土庄港の奥へ進む。どうやら横断せずに小さな小さな海峡を抜けるらしい。ギネスブックにも登録されているという世界最狭の土渕海峡。全部小豆島かと思ったら、前島と小豆島がこの土渕海峡で隔てられているようだった。

 以前は汚くて臭くてタマラナイところだったそうだけど、この日はまぁ濁ってはいたが匂うこともなく進めた。僕は臭いのはダメなので、それならと前島を回ったかもしれない・・・。まだこのときは元気だったしね。

 狭い狭い海峡を進んでいくと、右手、つまり前島側に「迷路のまち」という看板が見えた。なんじゃろ。今度ゆっくり覗いてみたいところではある。

 土渕海峡を越えたところで小休止。スタートして16km。はるか向こうに目指す地蔵崎が見えた。うえーあそこまで漕いでいくんやのう。まだまだ中間地点にも達してない。

 広い広い湾をショートカット。若干波があって風もある。乗れる追い波でもなく、押してくれる追い風でもなく・・・。ただただ淡々と波と戯れながらのおよそ10kmの湾横断。

 師匠の軽量パドル浮遊術にWッキーさんの乗艇シェー?

 やーっとやっと、地蔵崎周辺に辿りついた。岬の先では潮流の影響でいい波が立っていた。今回は先が長いのでできるだけ淡々と漕ぐことを心がけていたはずだが、素敵な波についうっかり乗りに行ってしまった。しかし荷物満載で重量級のシオンは少し波に乗りにくかった。もっと大きな波なら否応なく乗せられてしまうだろうけど・・・。

 岬の先で大休止。およそ25kmを漕いできてやっとお昼の12時。最近は初日のお昼はコンビニおにぎり3個。弁当と違ってゴミが少なく済むのがいいと思って。

 この日のウェアはロングのドライパンツにショートのドライジャケット。まだ季節が早かったせいかドライパンツの内側のインナーパンツは汗で少し湿っていたので、少し風を通して乾かした。上は半袖でもドライジャケットでは少し暑く感じた。新品だったらもっと透湿性があってちょうどよかったかも。

 地蔵崎の南端では、たくさんの大型船が往来していた。目の前は本線航路だし、小豆島のフェリーも頻繁に出入りする。

 こんな高速船もぶっ飛ばしていた。カッコイイ。ハヤイ。

 そこからはまた大きな大きな湾の横断10km。東に進むのに北風が強い。ヨットも倒れそうなくらい風を浴びていた。

 いつから、こんな横波横風が怖いよりメンドクセェと感じるようになったんだろう?ふと気付いたら全然恐怖感がなかった。昔はこのまま沈脱したら風に流されて航路の真ん中でスクリューでギタギタとか考えて気が気でなかったのに。

 途中の海上小休止で風速計を取り出して測ってみたら、5~7m/s程度の風だった。こんな風を横から浴びて、風波も横から浴びて、それでもなおメンバーがバラバラにならずに漕ぎ進むって、結構すごいことなんだろうなぁ。

 1日目の35kmを漕ぎきって、午後3時に到着。スムーズには進まない海況だったけど、早出のおかげで余裕のある到着。向かい風でも横風でも無理せず淡々と漕いだおかげで体力的にはまだまだ漕げる感じだった。1日だけならいいけど、翌日も翌々日も漕ぎ続けるわけで、ペースを守ることが大切なんだろうなぁ。

 テントを立てて、着替えて、夕食の準備をしているときれいな夕焼けが出ていた。

 パドリングソックスは先日教えてもらったエタノールを吹きかけた。これで匂わないはず!?

 夜はキムチ鍋。桃屋の「本格キムチ鍋の素」を使ったので野菜と肉や豆腐を入れて煮込むだけのチョー簡単。しめはパックご飯を投入しての雑炊。こういうときは食べきれないかもしれないので炊飯はしない。

 次の日が早いので、もう夜8時にはテントに入った。今回は久しぶりにシェラデザインのハーフムーン2という二人用テントを持ってきた。いつものソロテントに比べて大きくて重いけれど広くて中で座れるのがスバラシイ。

 朝2時半頃から起き始めて、3時にやっとテントから外を覗いたら満天の星!夕方は月がジャマして見えなかった星々が今やくっきりと見える。何度か星空を撮影しようと頑張ったことはあったけど、コンパクトデジカメでこれだけ撮れたことはなかった。ということは、肉眼で見たらどういうことになってるか、わかりますね??

 朝4時頃には片付けを始めて、トースト&スクランブルエッグの朝食。片付けが遅いので早めに片付け始めたつもりだったのに、ばたばたとしてたらやっぱり一番最後にカヤックに詰め終わった。

 朝日を拝む前に出艇。強い風に押されて南へ向かう。漕がなくても進むのですごく楽なんだけど、つまり岬を回ると強烈な逆風になるということであって・・・。

 岬の先で日の出を迎えた。しかしそこでは太陽とともに大きな波が出迎えてくれた。振り返り、声は聞こえないが、ここを、この波の中を、いくんですよね・・・?と確認した。

 なんかもう地獄絵図。高い波と強い風で海はしわしわ。でも、あの迫力はなんで写真に写らないんだろう?とか考えながら漕いでいたら、うーん、怖くないね。いつからこんな波がこんなに平気になったんだろう?

 しかし怖くないのと進まないことには相関関係はなく、波をひとつひとつ越えていってもGPSの速度計は3km/h程度。それでもまぁ進んでいるんだからと気楽なもんで。景色が変わりませんね~と一時間半漕ぎ続けたら5km程度進んでいた。まぁ岬を回る前に2km進んでいるんだけど。

 壁と壁の間に小さな小さな砂浜を見つけてそこへ上陸して小休止。遠く遠くに大鳴門橋が見えた。

 ちょっと休憩している間に波の力でシオンが埋もれていた。こりゃ並みの力じゃないな。

 若干、風が収まったかのように思えてもまだ進まない。でもその分長い間素敵な空を眺めることができた。もうだいぶ時間が経ったと思っていたけどまだ8時前。

 もうこの波にも飽きてきた~。3時間漕いで10km弱。波にもまれて3時間。そこで小休止。

 小豆島のゴミ捨て場?

 14kmを5時間かけて漕ぎ終えて、大きな浜でおよそ1時間の大休止。東海岸の海はとってもきれいだった。スピードは遅いけど無理せずいつものペースで漕いでいるので疲労感はそんなに感じなかった。けど、小指に水泡ができてて、ちくちく痛いのでつぶしてやった。アルコールとか持っててよかった。

 しかし再び漕ぎ出したときにはやっぱり小指に力が入らなくて、小指はとっても大事だと思った。

 休憩後は全く違う海況で、波が殆どないベタ凪だった。なんじゃこれ。

 結局6時間かけて北東端の金ヶ崎へ辿りついた。長かったぁ~けどまだ先は長い。しかしこれでまだ正午頃。長距離ツーリングとなると、早出が大切ってこういうことなんだなぁ。

 しかしその岬を回ったところでひどい逆潮。まだ残りは結構あるのに・・・。

 といったところで電話がかかってきた。叔母からの訃報の連絡だった。急いで帰らなければならないが、出航地までは直線距離で20km以上と出た。まだ昼なんで漕ぎ続けて漕げない距離ではないが、逆潮の中、広い航路を直線距離で斜め横断しての距離。しかも起床後9時間経過して6時間くらい漕いだ後。帰れるかもしれないが帰らぬ人になるかもしれない。

 そういう話をしながらとりあえずどうしようもないので先へ進んでいたら、師匠がそこにいた漁船と話をつけてくれて、なんと出航地まで直行便で送ってくれることになった。機転を利かせて話をつけてくださった師匠はもちろん漁師の方には感謝してもしきれない。

 さようなら皆さん、志半ばでリタイヤとなってしまいましたが、また一緒に来て下さい!

 さようなら小豆島。ありがとう漁師さん。本当にありがとうございました。ちゃんとお礼もしましたから、きっと次に困っているシーカヤックを見つけたら助けてくれると思います。

 

 思えば不思議なもので、それまでケータイはコクピット内の防水バッグに入れていた。どうせかかってくる電話はないし、電話するときは漂流してるときだからその時出せばいいやって思ってた。

 でも最近、カヤックと離れ離れになって漂流したらやっぱやばいよなぁとか自分は平気でもメンバーが窮地に陥ったとき助けを呼ぶ必要があるよなぁとか考えるとやっぱり体に電話をつけといた方がいいよなぁと思って先日防水ケースを買ったばかりで今回が初使用。それで早速役に立ってしまった。多分、PFDにつけてなかったらゴールまで電話を見なかったかもしれない。何かの示し合わせなのかなぁ~。

 

 浜へは直接上陸できないということで、少し手前の海に下ろしてもらって、浜へ上がった。浜には釣りやバーベキューの客がそこそこいて、あ、こいつ遭難して助けられたんだなとか思われるのかなぁ~とちょっと気になった。

 

 結局1日半だけだったけどいろいろ初めて尽くしで自分の力も測れたし、今回は3歩くらい成長した気がする。だけど、一周した達成感もないし連日の30kmオーバー漕ぎも未経験のままだし、やっぱりまた来ないと行けないなぁ。

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コメント

  1. 鈴木 より:

    書き込みのタイミングがズレズレですが、小豆島お疲れさまでした。一周できなかったのは、残念ですが、余裕を持って間に合って良かったですね。またタイミング良く優しい釣り師の方がいてくれたのもラッキーでした。

    ハラ君や東さん、その他大勢の方から「最後のツアー商法」は、まだまだやってくれという依頼が来ていますので、来年また企画したいと思います。

    そう言えば、前回ツアーは2回連続で雨にやられましたが、小豆島では風にやられました。この次は、逆コースで行きましょうか?

  2. quickturn より:

    その節は本当にありがとうございました。
    漕いで帰ってたらどうなってたかわかりませんから・・・。
    またぜひ「最後のツアー」を開催して下さい!
    今度こそ一周したいです。

    逆コース、いいですね~。同じ風が吹けばどんだけ楽なツアーなんでしょうか・・・。
    あの波に乗り放題と思うとワクワクします。
    でもそういうときに限って逆風だったりして・・・。

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