「 日別:2005年09月15日 」一覧

菅野ダム-利水と治水は両立しない

 今回の記事は、ダムの利水と治水は両立しない、計画中の平瀬ダムは治水効果がないということを認めているわけです。ということは、今計画中・建設中の多目的ダムのうち、利水と治水を目的としているダムは、全て計画を見直すべきではないでしょうか。

 「はんらんは、錦川支流の宇佐川や本郷川の増水が大きく、放流は影響がないはず」、確かに宇佐川やその他の支流の上流部での降水量は非常に多かったようですので、記事にあるとおりダムが放水する前から浸水が始まっていたのかもしれません。では、ダムが放水しなかった場合と今回の場合とで、南桑地区への流入量がどれだけ違い、水位はどれだけ違っていたのでしょうか。ダムが放水しなかったとしても、岩国市内への氾濫は少しも抑えられなかったのでしょうか。浸水被害は一戸も減らなかったのでしょうか。それを語らずに、「放流は影響がないはず」と言える根拠って一体何でしょうか。また、菅野ダムの放流が影響を与えない程度であれば、平瀬ダムを作ったところで、洪水を防ぐには全く効果がないということではないでしょうか。

 記事によると総貯水量は91,000,000m395,000,000m3というデータもあるが、前者ということにして、6日午前の57,000,000m3からは34,000,000m3の貯水容量があったということですよね。今回の最大流入量1,197m3が継続的に流入し続けたとしても、およそ8時間弱は放水せずに貯めることができたわけです。実際は平均すると(どこからどこまでを平均するかにもよりますが)半分以下なので、放水せずとも耐えられたはずでは?と考えるのはおかしいでしょうか。素人の浅はかな考えでしょうか。

 さらに、菅野ダムの放水は、満潮と台風の最接近、下流域のダムの放流とも重なっていたようです。これらのことを軽視せず、山口県は責任を持って被災者全員が納得のいく回答をしてもらいたいと思います。

asahi.com : マイタウン山口 - 朝日新聞地域情報
菅野ダム「事前放流を」/台風14号浸水被害

http://mytown.asahi.com/yamaguchi/news01.asp?kiji=5879

 台風14号で深刻な浸水被害を受けた岩国市で、氾濫(はんらん)した錦川の上流にある菅野ダムの放流方法に不満の声が出ている。「治水」を優先する下流域の自治体などは、ダムの放流と大雨が重なるのを防ぐため、台風接近前の放流を要望。これに対し、同ダムを管理する県は、一定量の貯水が必要な「利水」とのバランスを重視して難色を示す。双方の調整は今後の課題だ。

 岩国市で浸水被害が出た地域の大半には、市の避難勧告・指示が出なかった。「最初の被害情報が入った段階で既に浸水していた。早過ぎて手の打ちようがなかった」と市の担当者。避難できず、自宅2階で耐えた住民も多かったという。

 6日の同市の総雨量は観測史上最高を記録したが、市や市議会には「ダムの放流方法に問題があったのでは」という住民の声が寄せられている。

要望採択の矢先

 昨年8月の台風16号で、錦川の一部水位は危険水位(6・4メートル)まで0・7メートルと上昇した。流域の同市や美川町は同ダムの放流方法を見直すよう県に要請。流域で大雨が予想される場合は事前に放流するよう求めた。今年8月の県市長会では要望書として採択。そこで「県の姿勢は治水(防災)よりも利水を優先している」と批判した。

 県河川開発課の担当者は「検討が必要だが、難しい問題だ」と話す。同ダムは雨水をためて洪水を防ぐ「治水」と、工業用水や発電用の「利水」を兼ねた多目的ダム。一方の治水だけを優先する事前放流は難しいという。「予想通り大雨が降れば事前に放流しても問題ないが、予想が外れると渇水が進んでしまう」

流入過去最大に

 6日夜、大雨に伴い同ダムへ流入量は激増。放流の目安として県が定めた流入量(毎秒310立方メートル)に達したため、午後7時に毎秒19立方メートルを放流し始めた。午後10時17分の流入量は、66年の使用開始以来最大の毎秒約1197立方メートルを記録。放流量は徐々に増やし、同11時半ごろには最大の同約492立方メートルに達した。ただ、同8時ごろに流域で浸水被害が出始めたため、放流量は抑えていたという。

 「放流のせいで浸水したという声もあるが、放流量は川全体の流入量の約4分の1に過ぎず、影響は小さい」と同課。被害の大きい美川町の南桑や岩国市の臥竜橋に放流水が到達するには3~6時間かかり、最初の放流水が到達する前に浸水は始まっていたという。

国直轄では試行

 一方、国土交通省は昨年相次いだ台風の豪雨災害を受けて、対策を講じ始めた。昨年12月、専門家らを集めた豪雨災害対策総合政策委員会は「ダムの事前放流を検討すべき」と提言。同省は国直轄の全ダムで検討を始め、地方自治体にも一定規模以上のダムで検討するよう指針を示した。

 台風が相次いだ今夏、全国の国直轄ダムでは事前放流が試されたが、地方自治体管理のダムでは行われていないという。同省河川局流水管理室の岡村幸弘室長は「雨が必ず降る確証がない限り、事前放流は難しい。利水者に理解を得るのも困難だ」と話している。

中国新聞地域ニュース
山口県の菅野ダム放流に疑問の声

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200509150067.html

 ▽台風14号で錦川はんらん 住民「県は運用の検討を」

 「台風が近づく前にダムの水を放流できなかったのか」。台風14号による増水で錦川がはんらんし、大きな被害を受けた山口県美川町で、被災者から上流の菅野ダム(周南市)の放流方法に疑問の声が上がっている。ダムを管理する県は「放流ピーク時の水が町に達したのは水が引いた後」としながらも、住民の声を受けて放流方法の検討の必要性を認めた。

 同町の錦川沿いの地区では、六日午後八時ごろから浸水が始まり、翌七日午前二時ごろまで続いた。住民によると、水位のピークは六日午後十一時ごろだったという。

 ダムを管理する県河川開発課によると、放流を始めたのは六日午後七時すぎ。最初は毎秒二十立方メートルと少量だった。ピークは七日午前零時ごろで、毎秒四百六十立方メートルだったという。

 同課の推定では、放流した水が美川町に達するには四時間が必要。放流ピーク時の水が町に達したのは、水が引いた七日午前四時ごろという。同課の久保田昇助主幹(55)は「はんらんは、錦川支流の宇佐川や本郷川の増水が大きく、放流は影響がないはず」と説明。放流量も絞ったという。

 ダムの貯水可能量は約九千百万立方メートル。増水前の六日午前中には、五千七百万立方メートルの水があった。このため、住民は「増水前に放流し、貯水量を減らせなかったのか」と疑問を投げかける。浸水被害の度に、町が文書などで事前放流を申し入れてきた経緯もあり、不満を募らせる。

 これに対し、県はダムごとに定められた操作規則を基に、事前放流の難しさを強調する。貯水量の約七割に当たる七千四百万立方メートルが、周南地域の工業用水や水道水に割り当てられているのが理由。「水の保有権は水道事業者らにあり、七千四百万立方メートル以下の貯水量では放流できない」というわけだ。

 最も深刻な被害を受けた南桑中地区の自治会長片山原司さん(54)は「死者が出てもおかしくない状況だった。ダムの運用について、県の詳しい説明を聞きたい」と要望。町北部にある自宅が床上浸水した、町議会の藤井禎議長(53)は「人命にかかわる問題。緊急時の運用を工夫してほしい」と訴える。

 久保田主幹は「渇水への備えも重要で難しい問題だが、増水時の扱いには検討の必要はある。放流通告の方法も考えたい」としている。

KRY News & Weather
9月15日のニュース
菅野ダム 事前放流は

http://www.kry.co.jp/news/index.htm

 こちらは映像のニュースです。

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岩国市の浸水1714戸、台風14号の被害状況まとまる

YOMIURI ONLINE 05/9/14
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamaguchi/news002.htm

 岩国市は13日、台風14号による被害状況をまとめた。住宅の床下、床上浸水は、岩国、藤河地区などを中心に1714戸に上った。

 避難所は51か所設置し、計3068人が利用した。停電は3130戸。被害総額は試算中だが、錦帯橋を除く観光施設が3460万円、農業施設9130万円、農作物1億9500万円などと見込んでいる。

 杭名小(49人)は床上80センチまで浸水し、現在も休校中。14日からはスクールバスを走らせ、近くの河内小校舎を使って再開の予定。

 復旧作業にあたり、各地で大量にごみが出ており、13日正午現在で1333トンを回収。山口、広島県内の周辺15市町に同日、ごみ収集の支援を要請した。

 現在も300人を超える市職員がごみ収集や住宅の消毒、道路、河川の復旧作業などにあたっている。井原勝介市長は「廿木(はたき)で3人の方が亡くなられた。十分な事前の対応ができず、大きな被害が出てしまい大変申し訳ない。反省し、これからの対策を考えていきたい」と話した。

 衆議院議員選挙にかかった費用770億円に比べれば安いもんですよね、総理。鶴の一声で解散してそんだけ金出すんだから、鶴の一声で全国の被害額をぱぁーっとはらっちゃってください。

美川町「ボランティア足りない」~台風14号から1週間

YOMIURI ONLINE 05/9/14
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamaguchi/news001.htm

 台風14号で県内が被害を受けて13日で1週間。錦川の増水で床上浸水など深刻な被害が出た美川町南桑地区などでは、泥の搬出などの復旧作業が依然として続いている。高齢者だけの住宅が多いにもかかわらず、ボランティアの人数が十分ではなく、同町災害ボランティアセンターでは「まだまだ、人手が必要」と応援を呼びかけている。

 センターによると、町内には、週末の10、11の両日はそれぞれ、県内外から約150人が加勢に来てくれたが、平日は仕事で来られない人が多く、13日は約60人に減少。住民の疲労も限界に近づいているという。

 応援要請のある作業は、家財道具の搬出などから、食器類の洗浄や、押し入れの片づけなど、災害当初に比べて、細々とした内容に推移しているが、生活再建には欠かせない作業。

 独り暮らしの同町南桑、山田吉春さん(91)方は、1階の床下に泥がたまった状態。山田さんは「疲れてしまって、いつ家がちゃんとなるかわからない」と畳がなくなった屋内に座り込み、ボランティアの作業を見守っていた。

 近くの平金安子さん(83)は「畳や食器をそろえるのはいつになるか……。壁も戸も壊れているので、泥がなくなった分、今度は盗難が心配」と話していた。

 問い合わせは同センター(0827・76・0077)へ。

 和田さん宅も自転車が盗難されています。ひどいヤツが世の中にはいるのです。

台風被害の小学校が9日ぶり授業

中国新聞地域ニュース '05/9/15
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200509150041.html

 台風14号の影響で校舎が浸水被害に遭って休校している岩国市の杭名小(村上俊郎校長)の児童五十人が十四日、隣の学区の河内小の校舎で九日ぶりに授業を受けた。久しぶりに友達や先生と顔を合わせた子どもたちに笑顔が戻った。市教委によると、災害時に他校の校舎を借りて授業をするケースは珍しいという。

 杭名小の児童は、岩国西中のスクールバスで河内小に登校。講堂で河内小の児童八十六人と対面し、「よろしくお願いします」とあいさつした。

 臨時の教室は、特別教室がある校舎。一―三年生は一階の家庭科室や理科室、四―六年生は二階の講堂を学年ごとに区切った。自宅が被災し、教材をなくした子どもたちは友達に教科書を見せてもらっていた。杭名小六年藤本愛実さん(12)は「久々にみんなと勉強できて楽しかった」と話していた。

 錦川沿いの杭名小は、一階が八十センチほど浸水し、清掃業者らが泥の除去や消毒をしている。河内小には十六日まで通い、二十日から杭名小の二、三階で授業を再開する予定だ。

岩国・台風被害で近くの小学校で授業再開

TYS NEWS CATCH 05/09/14
http://www.tys.co.jp/news/20050914.html

9日ぶりの授業は近くの小学校で始まりました。台風14号で校舎が浸水し、復旧のめどが立っていない岩国市の杭名小学校の児童が、近くの小学校の教室を借りて授業を再開しました。=バスを待つ子どもたち=岩国市立杭名小学校の児童は9日ぶりの授業再開となりました。久しぶりの登校に笑顔を見せながら教育委員会が用意したバスに乗りこみました。授業は自分たちの学校ではなく近くの河内小学校で行われます。杭名小は台風14号で錦川がはんらんし、校舎が冠水しました。板張りの床は大きくたわみました。学校は授業再開を決めましたが、床下にはまだ泥や水がたまったままで、河内小学校の一部を借りることになりました。河内小学校では両方の小学校の児童が対面し、それぞれの代表があいさつしました。=杭名小の児童は「たくさんの人がいて交流できるから少し嬉しいです」「勉強が遅れてるので、それをちょっと早く取り戻したいです」==岩国市立杭名小学校村上俊郎校長「全員きょう集合してくれた、その顔、大変心配していたよりも明るかったということで嬉しく思っています。早急に安全を確認して、向こうの学校(杭名小)でやりたいと」=河内小での授業は今週いっぱいの予定ですが、杭名小の復旧状況によっては来週まで延びる可能性もあるということです。

岩国・後片付けに市職員を大量動員

一方、地域全体が冠水した岩国市の藤河地区と多田地区では廃棄された大量の家財道具やゴミを処理するため市の職員の5分の1に当たる200人を動員して後始末や消毒に当たりました。藤河地区と多田地区では地区全体が冠水し多くの家で家財道具が泥水に浸かりました。台風から1週間が経ったもののゴミの処理ははかどらず衛生状態も急速に悪化しています。住宅のそばに山積みとなったゴミを撤去するため急遽、市職員の大量動員が決まったものです岩国市では台風直後から復旧作業などのため連日職員の総動員状態が続いています。しかし、市内全域におよぶ被害の大きさに廃棄物を運ぶ車両も人手も不足し作業が追いつかず被災ゴミの完全撤去のメドはたっていません。