海のルール
海のルールってあまりにも知らなさすぎると感じた。というわけで、ルール(=法律)を読んでみた。
目に付いた主なものは二つ。「海上衝突予防法」と「海上交通安全法」。後者は「この法律は、船舶交通がふくそうする海域における船舶交通について(略)」と適用海域が決められているものの、その海域にはホームグラウンドの瀬戸内海と東京湾・伊勢湾が指定されているので、個人的には身近で重要なルールといえるだろう。
まずは、海上衝突予防法からいくつか抜き出してみた。シーカヤックにも役立つはず?これ以外が役に立たないってことでもないんだけど。
第5条 見張り
船舶は、周囲の状況及び他の船舶との衝突のおそれについて十分に判断することができるように、視覚、聴覚及びその時の状況に適した他のすべての手段により、常時適切な見張りをしなければならない。
とにかくありとあらゆる全ての方法を使って常にアンテナを張ってないといけませんよと。シーカヤックは漕ぎ手が船長であり監視長であり動力であるわけで。
第7条 衝突の恐れ
船舶は、他の船舶と衝突するおそれがあるかどうかを判断するため、その時の状況に適したすべての手段を用いなければならない。
同3
船舶は、不十分なレーダー情報その他の不十分な情報に基づいて他の船舶と衝突するおそれがあるかどうかを判断してはならない。
ありとあらゆる手段によって衝突するかどうかを考えないといけないけれど、不十分な情報に基づいた判断はしちゃいけませんよと。そう判断するには根拠があるんですか?その根拠は正しいですか?って考えないとね。なんか、海の上の話に限ったことではないよね??偏見とか非難とか・・・。
同5
船舶は、他の船舶と衝突するおそれがあるかどうかを確かめることができない場合は、これと衝突するおそれがあると判断しなければならない。
「大丈夫だろう」っていうのはダメって。だろう運転よりかもしれない運転ってことやね。絶対大丈夫っていう確信を得られるだけの情報がない限りは、衝突することを前提としなさいって。
第8条 衝突を避けるための動作
船舶は、他の船舶との衝突を避けるための動作をとる場合は、できる限り、十分に余裕のある時期に、船舶の運用上の適切な慣行に従つてためらわずにその動作をとらなければならない。
ギリギリになってからどうしようどうしようって思っても手遅れ。まだ随分遠くにいる段階でさっさとやっちまいな!って。
同2
船舶は、他の船舶との衝突を避けるための針路又は速力の変更を行う場合は、できる限り、その変更を他の船舶が容易に認めることができるように大幅に行わなければならない。
針路を変更しましたよ~!もう安全ですよ~!大丈夫ですよ~!ってアピールすることがとっても大事ってことかな。大胆に、大げさに。でも、ちいさなシーカヤックでどれだけのことができる?
続いて「海上交通安全法」から。
第4条 航路航行義務
長さが国土交通省令で定める長さ以上である船舶は、航路の附近にある国土交通省令で定める2の地点の間を航行しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該航路又はその区間をこれに沿つて航行しなければならない。ただし、海難を避けるため又は人命若しくは他の船舶を救助するためやむを得ない事由があるときは、この限りでない。
瀬戸内海など指定海域では、大型船は基本的には航路を通過しているはずなので、航路をチェックしておくことはとても重要である。
第8条 航路の横断の方法
航路を横断する船舶は、当該航路に対しできる限り直角に近い角度で、すみやかに横断しなければならない。
斜め横断はダメ!横断するときは、まっすぐ直角にささっと!
といくつか適当に選んでみたけど、抜き出し方が著しく半端なので詳しくは原文をご参照のこと。
面白いのは、A船に回避義務があります、B船はまっすぐ行って下さい、でもA船が避けられなかったらB船が避けなくていいってわけじゃありません、とか書いてある。A船はB船の進路を避けなければなりません、でもB船はA船の通航を妨げてもいいわけじゃありません、とかきっちり書いてある。基本はこうだけど、何かあったらこうしてね、とにかく安全に、ってことでしょうね。
他の動力船はこれらの法律に基づいて航行しているはずなので、それを理解しておかないと「無法者」になっちゃう。個人的には、シーカヤックが他の船に回避行動をさせてしまうようではダメだと思うので、例えば漁船とかに手を振ってアピールしたりするんじゃなくて(←何かあったと思わせるとアレなんで)、予め気にかけさせないようにひっそり離れて安全に漕ぐのがいいんじゃないかなぁ。もう、こっちでカンペキに避けますんで、どうぞまっすぐ行って下さい、みたいになるといいけど。そうは言っても向こうも気にかけてくれるんよね。それに頼らないように、当てにしないようにしたいと思います。