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地形図で地図感覚を磨く

地形図

 「地図感覚」っていうとちょっと大げさかもしれないけれど、「パッと見たらこのくらいとわかる感じ」ということで。

 それには、いつも同じ縮尺の地図を持つのがいいと思います。そうすれば、このくらいの距離なら、または、このくらいの等高線の密度ならこのくらいの時間がかかる、というのが、そのうちわかってくるようになるからです。

 私の場合は、山歩きなら25,000分の一、シーカヤックなら50,000分の一の地形図を用意します。海図や登山地図、またはガイドブック内の地図は縮尺もまちまちなので、ちょっと使いにくかったりします。漕ぐのが同じ海域ばかりだったらひとつの海図で地図感覚を作るのもアリでしょうけどね。

 で、25,000分の一というと国土地理院の紙地形図が代表的ですが、田舎モンには入手が難しいので、今や便利な世の中、インターネットから地形図をダウンロードして印刷すればいいわけですね。インクや紙が水に弱いとかいう弱点はありますけど、マップケースと併用すれば十分使えます。ふと思い立って山へ行こうと思ったときに、夜中でも地形図を入手できるわけですから、便利ですよね~。メインの山域が決まってる場合は国土地理院の紙地形図を用意した方が何かと楽しかったりすると思いますけど。

 たとえ誰かについていく場合でも、ガイドツアーであっても、いつも地形図を持って、自分で自分の位置を確認する習慣をつけていくと、いい練習になると思います。


カシミール3Dを使わせて頂く

 「カシミール3D」というかなり優れたWindows用ソフトが無料で使わせてもらえます。製作者さんに感謝して使わせて頂きましょう。MACな方はエミュレータなど使用して使うといいらしいです。これと、国土地理院の「地図閲覧サービス」(ウォッちず)を使うと完全無料で地形図が作成できます。しかし、この「地図閲覧サービス」負荷分散のために(自主的に?)ダウンロード制限をかけているようですので、せっかちな方は『山旅倶楽部』の有料サービスを使うといいでしょう。標高データや地名・山名データなど、あると便利なデータが一年間使用できるようになります。あまりに便利なんで私も使ってます。ただ地形図を閲覧するだけでなく、優れた機能が満載なのですが、その他の楽しい使い方はカシミール3D入門』などのガイドブックを見てもいいし、ネットで探してみてもいろいろ得られます。

 ではまぁせっかくなんで、地形図を印刷するまでの流れを書いてみましょうか。

カシミール3Dをダウンロードする

 カシミール3DのWebページに「カシミール3Dのダウンロードはこちら...」というリンクがあります。最初のインストールでオススメなのは「カシミール3Dおまかせセット」です。最初はカンタンなアンケートがありますが、感謝の意味も込めて答えましょう。2回目以降は記入不要だそうです。そのあと、留意事項を確認して、ダウンロードします。

 デスクトップかどこかに、"kash<xxx>sp.exe"(<xxx>はバージョンによって違います)というファイルを保存します。ダブルクリックなどして実行すると、インストールが始まります。

カシミール3Dをインストールする

カシミール3D セットアップウィザードの開始

 さぁ、インストールの始まりです。次へ(N) >

カシミール3Dセットアップ

 もう戻る必要はありません。次へ(N) >

使用許諾契約書の同意

 「使用許諾契約書」に同意できないと進めません。変な事は書いてませんので、同意できたら同意する(A)にチェックを入れて次へ(N) >をクリック!

インストール先の指定

 インストールフォルダを指定して、次へ(N) >!Windows Vistaは何か違うんですか?

プログラムグループの指定

 スタートメニューに出てくる名前を指定します。こだわりがなければそのまま。

追加タスクの選択

 デスクトップにアイコンがほしいときはチェック!

インストール準備完了

 いちおうざっと見て、問題がなければインストール(I) >

カシミール3D セットアップウィザードの完了

 使うのは後から、と言う場合はチェックを外して、すぐ使うときはそのままで結構です。そして完了(F)をクリック!

カシミール3Dを使ってみる

カシミール

 起動するとこんなダイアログが出てきますが、こだわりがなければはい(Y)で特に問題ありません。

ようこそカシミール3Dへ

 使う地図を選びましょう。今回は、タダで使おうということで、「うぉっちず」を利用することにして、そこの使ってみる..ボタンをクリック!当然後からでも変更できます。

[地図閲覧サービス]の利用にあたって

 タダですけど注意事項を確認してありがたく慎んで使わせて頂くことにしましょう。確認したら、OKをクリック!

カシミール3Dで地形図を表示

印刷したい地形図を表示する

 地形図が出ました!これが無料なんですから、なんともうれしいことです。山旅倶楽部の地図を使う場合はパレットを調整したりする方がいいでしょう。山なら緑、海なら青のインクがすぐなくなっちまいます。地形図作成用オススメ設定なんかは「カシミール 地形図」なんかで検索するといろいろ出てきますのでそちらに譲りまして・・・。「うぉっちず」ならそのままでいいかな?

起動

 とりあえず、自分のほしいところを表示してみましょう。編集(E)検索...(S)で山名などを入力すれば、だいたい出てきます。出てこない場合は、右中央の「ガイド」の赤いしるしをドラッグして移動しましょう。山旅倶楽部の地図なら80万分の一や20万分の一を選んでおけば全国をらくらく移動できますが、「うぉっちず」の場合はこのスケールしか使えないので、とりあえず右下の「ズーム/縮尺」を1/2にすると移動が楽です。自宅周辺やお気に入りの地域を表示してみましょう。

地形図の設定をする

表示の設定-磁北線

 メニューの表示(V)表示の設定...(T)または表示の設定アイコンをクリックすると「表示の設定」ダイアログが出てきます。

 まずは、磁北線タブを開いて設定しましょう。地形図の読み方のマニュアルには、まず「磁北線を記入しておく」と書かれていると思いますが、カシミールのいいところは「磁北線を勝手に書いてくれる」ということでしょう。これで手間がかなり省けますね。

 表示する(V)にチェックを入れることを忘れちゃいけません。あとは、表示する間隔(ここでは1分間隔ボタンで1分にしてます)、線色など線のスタイル(ここでは赤・1ピクセル幅・実線)を設定します。

表示の設定-緯線罫線

 次は、緯線罫線タブを開いて設定しましょう。まぁお好みでいいのですが、緯度経度がわかると、地形図から読み取った位置をGPSで答え合わせする、なんてことができて便利なのです。

 先ほどと同様に表示する(V)にチェックを入れて、表示する間隔を1分間隔、線のスタイルをここではグレー・1ピクセル幅・実線にしてみました。

表示の設定-緯線罫線(補助線)

 あと、緯線罫線(補助線)タブを開いて設定しましょう。これもお好みで。補助線を表示する(V)にチェックを入れて、表示する間隔を10秒間隔、線のスタイルをグレー・1ピクセル幅・点線にしてみました。

設定終了

 設定終了です。こんな具合になったことでしょう。ではこれを印刷してみましょう。

印刷範囲を設定する

 紙は電源がなくても閲覧できるうえに軽くて嵩張らないという性質を持つ、究極のモバイルデータ・モバイルメディアです。というわけで、紙に印刷して地形図を持ち運びましょう。ただし、プリンタの精度やデータの精度によって若干誤差が出てきます。市販の25000分の一地形図と全く同じだとは思わないで下さい。誤差が含まれているという大前提の上で、では一体うちのプリンタで誤差はどのくらいなのか?を調べておいた方がいいでしょう。

 まずは印刷範囲を設定します。うちにはA4プリンタしかないので仕方なくA4用紙で考えます。A3プリンタをお持ちの方は勝手にやってください!

 A4用紙は210mm×297mm。それぞれ25,000倍すると5.25km×7.425km。最近主流の「フチなし印刷」でA4用紙に25000分の一地形図を印刷すると、だいたいそれだけのサイズを1枚に収めることができるってことを覚えておくといいことがあるかもしれません。2点間の距離が用紙の短辺と同じくらいだったら「だいたい5km」とすぐわかりますしね。

印刷範囲を決める

 メニューの編集(E)選択範囲を決める(R)を実行したあと、地図上でドラッグして範囲を決めます。5.25km×7.425kmより少し大きいくらい、右・上の位置はシビアに、左・下方向へは、本当に印刷したい範囲を少しはみ出す程度で選択します。

 このとき、選択した範囲を一度全て表示してみてください。もしかすると、ダウンロードしていない部分があるかもしれません。プリンタ設定の方でプレビュー機能がある場合(プリンタ(正確にはプリンタドライバ)に依存します)は使うといいでしょう。もし範囲内でダウンロードし損ねた部分がある場合は印刷する前に気付くことができます。

印刷設定をする

印刷設定

 メニューのファイル(F)印刷(P)選択範囲を印刷...(A)を実行すると、こんな印刷ダイアログが出てきます。

 最初に、プリンタ設定..ボタンをクリックして、プリンタの設定をしておきましょう。チェックすべき点は

  • 用紙の向き(縦か横か)
  • 印刷品質(用紙によって変えましょう)
  • プレビュー機能(機能があれば)
  • ふちなし印刷(機能があれば)

 「ふちなし印刷」は、印刷物を若干拡大するようです(うちのプリンタだけかもしれませんけど)。なので少しだけ地図を大きく印刷することになります。

印刷設定-緯線・経線

 まずは、緯線・経線タブを開いてみてください。お好みですけど、緯度・経度を数値で印刷するための設定です。

 緯線経線の数値を印刷(L)にチェックを入れて、表示スタイルを指定します。補助線までつけると結構うるさい感じです。表示スタイルは、「度分秒」入れてますけど「分」がわかればなんとかなると思います。

 経度が1分違うとこのあたりでは1.5kmちょっと。1.5km = 1,500m = 150,000cm、 150,000 / 25,000 = 6cm、というわけで、数値の表示間隔(cm)は「6」くらいがすっきりします。

印刷設定-印刷全般

 再び全般タブに戻ります。

 縮尺を指定して印刷(正確ではない)にチェックを入れて、1:25,000を選びましょう。右の方の印刷範囲で、横1列目から1行目まで、縦1行目から1行目までと設定します。範囲を大きめにして、ここで範囲の左上端だけを選ぶことによって、自動的に余白を最低限にすることができるわけです。

 この数字を設定したあとプリンタ設定..ボタンをクリックすると、なぜかこの数字が元に戻ってしまうようですので、最後の最後に確認しましょう。

印刷する

 印刷設定ダイアログでOKボタンをクリックすると、印刷が始まります。プレビュー機能があれば、プレビューが表示されると思います。ここでダウンロードできていない部分がないかチェックしましょう。

精度をちょっとだけチェック

 ふちなし印刷にしたものは、経度1分、ここでは1.52kmのはずの距離が1.54kmほどに見えました。逆に、ふちなし印刷にしなかったものは、1.50kmほどでした。ということは、±2%ほど誤差がありそうですね。1km歩くと20mもずれます。これが重要になってくるようなシビアな山行では使わない方がいいでしょう(どんだけ~)。お手元のプリンタでの精度を確かめておくと安心できるでしょうね。

あとはお好み

 シーカヤック用に作った地図(1:50000)は、私はラミネートして持っていきます。山用地図(1:25000)はマップケースに入れるだけです。ラミネートしておけば、デッキに挟んでおくだけで使えます。ラミネートしてあっても、砂など噛むとすぐに穴が開きます。デッキに貼りっぱなしにしておくのが一番いいようで。

いつでも出せるように

 地形図・コンパスをザックの中に入れてしまうと取り出すのが億劫になってしまいます。いつでも見られるようにしておけば、人間の悲しいサガをひとつ排除できますので、それだけヒューマンエラーを回避できるわけですね。ベストな方法を試行錯誤しましょう。

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コメント

  1. Stephan より:

     はじめまして。
     岡山で山歩きをしているStephanと申します。

     地形図はHikingmap25というフリーソフトを使用して印刷していたのですが、このたび国土地理院の「ウォッちず」の仕様変更に伴い、それが使えなくなり、困っていました。

     カシミールの存在は以前から知っていましたが、インターフェイスに馴染めず、使おうと思っては挫折しておりました。

     こちらの記事のおかげで、カシミールを使用して地形図をある程度精度の高い地形図プリントを得ることができそうです。
     山仲間にもシェアさせて頂きたいと思います。

     感謝。

  2. quickturn. より:

    Stephanさん、初めまして。
    お役に立てたなら光栄です。
    評判のいいソフトでも、とっつきにくかったりすることが
    よくありますね。僕もよくあります。
    慣れるとそれが当然になりますが、慣れるまでが大変ですよね。

    ところで、僕に感謝頂く必要はありません。
    ソフトの開発者様に感謝して下さい。本当にありがたいことですね。

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