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4/8 大山

 4/8は2回目の冬大山へシゲさん・moujiさんと3人で出かけた。大山?あぁいつも晴れのところね(サンプル数2)の7.4km。

 夏山登山道近くの駐車場で過ごす冬の夜はこれが2回目。前回は、Shindyくんに誘ってもらってやってきた初めての冬大山。緊張していたあの夜を思い出す。まだあれから1年しか経ってないんよね。そう考えたらこの1年で気持ち的にかなり進歩できたんじゃないか。それとも、単に危険に麻痺するようになっただけなのか。前回と違って一人で迎えた夜は、いろんな妄想が駆け巡る。

 考えてるうちに寝てしまい、迎えた朝は驚きの快晴。シゲさん・moujiさんもいつの間にか到着していた。多くの登山者がどんどん出発していく中、僕らも登山口に入っていった。きっとパウパウ?と思って太い板を持っていくことにした。

 待ちに待った北壁滑走。今年は雪が多くて、雪庇があるらしい、クラックがあるらしい、そしたらまだ行っちゃダメだね、そろそろいいかな、と待ち焦がれたこの日がとうとうやってきたのだ。

 それにしてもこの道はなんで夏山登山道っていう名前なんだろうね。

 二合目の道標が出てきたときには、「まだ二合目?!」というのが正直な感想だった。

 そしてそれは、五合目でも同じだった。

 森林限界に入るとガスの世界。恐れ慄く。事故がよく起こってる山に、こんな条件のときに自分が入っていっていいのだろうか?初心者は行っちゃいけないところ。自分は初心者じゃなくなっただろうか。でもそれを決めるのは、他でもない自分自身なのだった。

 森林限界ギリギリのところの木って、限界に挑戦したやつなのか、それとも限界を超えられなかったやつなのか。僕は限界に挑戦しなくていいのだろうか。挑戦と無謀の境目はどこなのか。

 六合付近の雪庇は未だ張り出していた。

 元谷がうっすら見えてきた。風があるのでガスもさっと抜けていくようだ。

 そのうち、満を持して青空が登場。白と青の世界が始まった。だが風が強く、胸につけたお守り代わりのアバラングがホーホーと鳴いた。

 三人で三箇所で雪チェックして、まぁ大丈夫という結論に至った頃。七合沢をボーダー達が気持ちよさそうに滑って行った。早起きはパウパウの得!いいなぁ。でもそこにザーッと雪のボコボコが流れていって、そんなのを初めて見た僕はこれが雪崩!?と思ったのだけど、どうやらスラフとかでそう危険なやつではないらしい。今日はそういう雪なのか、と納得した。

 七合付近は若干雪が少なくて、アイゼンが減る~って心配しながら登っていった。

 七合沢のトップ。ちょっとカリッとしてそうだけど、斜度はこれなら行けるかなっていう感じ。昨年はビビりまくって、Shindyくんを待たせながらかなり下まで歩いて降りてから滑り始めた。でも今回は行ける!ここに立ったのは2回目だけど、僕の中ではこれが初挑戦なのだ。

 天気がいいのでとりあえず山頂へ行くことにした。九合あたりから山頂方面。白い峰が美しい。

 白と青の世界。シールは持ってきたけど風が強いので装着することができそうになく、重いけどもうちょっと担ぐことにした。

 山頂小屋はまだ埋まっていた。

 山頂の碑は天面しか出てなくて、変わりに方位盤を。ともかく山頂到着!

 南壁側のパノラマ。美しい。ちょっと切れたけど。

 僕が山頂に酔いしれてたら、いつの間にかみんなサクッと準備してて、お待たせしながら滑走開始。

 山頂台地を滑り下りて戻ってきた頃には別山沢にもシュプールがついてたりして、なんかスゲー世界だなと思いながらしばらく板を担いで下る。

 そしていよいよ七合沢初挑戦!と思っていたけれど、ボコボコ七合沢よりまだつるんとした八合沢の方がいいんじゃないかっていう話になった。え!七合行かないの!?てかいきなり八合!?コエェェェェ!

 一人目、moujiさんが華麗なターンをしながら降りていった。この急斜面でそんなターンができるもんなの!?とか思いながら二番手に僕が。恐る恐るだけどとりあえずターンはできた。でも少し前のヘンな滑り方になっていた。緊張していつもの滑り方を忘れて後ろ足荷重が抜けてたと今となっては思う。考えないとできないということはまだ練習が足りないということだ。そして例のボコボコ雪に完全にまいった。まだ伸びしろがたっぷりあることを思い知らされた。

 ボコボコ雪は板との接点が小さいからスピードが出るんだけどボコボコしてて滑りにくい。ボコボコしてない尾根の方は完全に板つかみ妖怪の世界。なぜこれをmoujiさんはひょいひょいと滑って行けるんだろう。僕の登る前の自信はどこへ行った。

 そしてその後小さいけれど雪崩が発生。真ん中尾根のつるんとしたところが流れていった痕。こりゃアカンと七合沢に逃げた。

 起点は谷筋じゃなくて尾根筋だった。僕はこれまで谷筋ばかり気にしていたと思うけど、そりゃそうだ。尾根筋の方が斜度がある。どっちもみないといけなかった。

 こんなことがあるからいつもみんなひとりずつ滑ってるんだね。つまりこれも想定内だったということか。ビーコンとかアバラングとかつけてりゃそりゃ想定内なんだろうけど。もう、実際そういうのが起こるところに入るようになったっていうことだ。今まで以上に気を引き締めて臨まなければならない。

 一方の七合沢は既に全面ボコボコ雪になってたけれど、雪崩が起こる気配はない。いや、八合沢も気配はなかったよ。気配を感じ取れないだけかもしれないけど。つまり気配がないからといって七合沢は起こらないっていう確証もあるわけではない。雪崩っていうのは斜度が18°以上あったら起こるらしいしね。

 この日の元谷は板つかみ妖怪が大量発生。全ての滑走がスローモーションになる。

 だけど振り返った峰は本当に美しい。

 でもよく見て。八合沢は僕らがいたところがまた別の雪崩が起こっていた。

 そして次には左側の別山沢にも。

 別山沢はまたさらにその上からも流れていった。違いがわかるかな?

 前述のとおり、山頂から下るときには別山沢にシュプールもついてたからきっと滑った人たちもいた。けれどその時は何事もなかった。気温が上がって雪崩が起こりやすくなってきたのだろう。その時だったら何事もなく楽しかった!で済んだかもしれないけれど、僕らのときは目の前でそれが起こった。

 こうして見上げてる間にも八合沢を滑ってた人の影が見えた。にげてー!とここから叫んだら聞こえたはずはないけれど七合の方に行ってナイス判断!とか言ってみたり。でもいやいや僕らは判断できてませんでしたよねーと笑った。何事もなくこうして笑えることがどんだけ運がよかったか。そして楽しかった!で済んでたら何も勉強しなかった。いろんな意味で幸運だったのかもしれない。

 大神山神社奥宮で無事を報告して二礼二拍手一礼。下山の途についた。

 生きて帰ることができたのは奇跡。そしてこの遊びは、その奇跡を起こし続けなければならないのだろう。巷では、数十年後にガンになる確率(≠死ぬ確率)が0.数%上がるかもしれないっていうのさえハンターイって言ってるのに、死ぬ確率、直ちに健康に影響が出る確率がその何倍も高い(当社比)こんな遊びをしていていいのだろうか、とか思ったり思わなかったり。

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コメント

  1. シゲ より:

    こんな、遊びをしているといつかは、こんな現場に
    遭遇するだろうと思っていました。

    こたつで寝てたら安全だけど、充実感は味わえないし、
    冒険は、NGだけど、チャレンジしなければ、進歩しないし。

    いろんなことを考えながら、折り合いをつけて、
    安全に楽しく、遊ぼうと思っています。

  2. quickturn より:

    いやいや、実はこたつ火災は結構多いらしいので、
    外で滑ってた方が安全なのかもしれませんよ\(^0^)/
    暴走車は予測できないけれど、雪崩は予測できるはず!
    雪崩判定正解率100%を目指して頑張りましょう!

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