ダブルポンプへの道3:スイープを考える

 というわけで、スイープストロークについて考えてみたいと思います。

 これがきっちりできると、あとはリーンと組み合わせるだけでバウが勝手に水中に沈んでいってしまうのです。何度でも練習しましょう。ウォーミングアップに使ってもいいですね。


 スイープストロークというと、俗に「遠くを半円を描くように漕ぐ」とか言いますが、ここではそれは使いません。「胸を向けた方向にバウを向ける」というやり方でやります。EJのDVD、Kayaking with EJに出てくるアレを見ればそれだけでいいのですが・・・。

 まずはこんな感じでまっすぐしときましょう。なんかパドルを持つ幅が狭いことに今気付きましたが脳内でフィルターをかけておいて下さい。

 気付いたといえば絵がちっちゃくなったことにも気付いたのですが、わかりますかね。まずは顔を向けます。右のブレードでフォワードスイープをするなら、図のように左を向きます。視線だけだと流し目ですましてしまうかもしれないので、しっかり顔を向けることを意識しましょう。

 顔を向けた方向に、次は胸を向けます。慣れてきたら上半身と頭と一緒に動かしてしまえばいいのですが、慣れないうちは胸が艇に対して横を向いているつもりでも顔しか向いてないとか流し目しかしてないとかいうことになりがちです。だから、わざわざ頭と上半身とステップを分けて練習しましょう。

 とりあえず右のフォワードスイープってことで、右のブレードを水に刺します。両ひじと手の甲でできる四角形を長方形に保ったままがいいとか言いますね。その点からいうとこの絵は全く信用なりませんのでその辺はゴニョゴニョしてください。

 今までの動作で、胸は横を向きました。つまり腰のところでひねられています。この「ひねりを戻す」という動作で、バウを胸の向いている方向へ持ってきます。

 刺したブレードを支えにすると上半身の向きは固定されますね。そのまま腰のひねりを戻すと、バウの先端すなわち足先が胸の向いている方向へやってきます。

 

 ここまでの動作をちょっとアニメーションにしてみました。艇が胸と同じ方向を向いたら刺したブレードをそっと抜いて下さい。すると「スピンモーメント」が効いて、艇と上半身と一緒にそのまま回転し続けます。うまくいけば360度くらいスピンできると思います。僕はできない気がしますが・・・。

 このとき、まずは艇を完全にフラット(左右前後に傾けない状態)にしてできるようにして下さい。なれないうちはふらふらするでしょう。艇が傾くとうまくスピンできません。最終的にはわざわざ傾けてやるんですけど、今は完全にフラットです。それで1000回くらい練習しましょう。1000回でうまくいかなかったらもう1000回やりましょう。非常に重要です。ですが、同じ方向ばかり連続してやると目がまわるので、右やったら左、とそれぞれやるといいと思います。

 また、手で漕ぐことに意識を取られてしまうとひねりを戻すときにうっかり後傾になってしまったりするかもしれません。スピンの回転の軸におしりとへそと頭があって、その軸にそってスピンするように意識してみて下さい。パドルと腕と上半身は一体です。そしてブレードの位置は水じゃなくて粘土に刺しこんだと思って、動かさないようにしてください。実際には多少動くはずですが意識の問題です。

 フォワードスイープばかりやると飽きるので、バックスイープもやりましょう。あまりにも面倒なので絵は省略しますが・・・右のバックスイープストロークを考えるなら、顔は右を向きます。胸も右を向きます。上半身は艇の右にひねった状態になります。そして右のブレードをスターンのすぐ近くの水中に刺します。足先を胸の前に持ってくるとOKです。

 このとき、やっぱり手で漕ぐというかパドルを動かすことに意識を取られると、パドルと上半身が前に動いてしまい、結果として前傾になったりするかもしれません。これは早いうちに修正すべきです。今はフラットでスピンしてますが、バウを刺そうとしたときには、この前傾になってしまう病は「バウを抜く動作」と同じなのです。パックマンでいうところの口を閉じるやつですな。

 こんな練習の仕方もあるでしょう。右なら右にブレードを入れて、胸は正面を向いたまま左右にバウを振ってみてください。このアニメーションは早すぎました。実際はゆっくりでいいです。角度は浅くていいです。5度くらいからはじめて、感覚がわかったら徐々に広くしていって下さい。右のブレードの位置が全く変わらずにバウを振ることを意識してください。腰のひねり戻しを感じて下さい。ブレードを右に入れたり左に入れたりしてやってみてください。

 

 Kayaking with EJでは、次にすぐリーンしながらのスイープが出てきますが、あれはスイープストロークが完璧になってからでいいと思います。上半身が向いた方向に下半身を持ってくるこの感覚がつかめるまで、何度も何度も練習してください。

 バウを向けたい方向に、まずは胸を「先に」向けるということで、先行動作とか言いますね。先に向くべき方向を指定しつつ同時に腰をひねることによって「力をためる」ことができます。そしてそのたまったひねりの力を解放するときに、上半身が戻ってしまわないようにブレードで少し支えを作っておいて、バウを動かすわけですね。

 この胸が向いている方向が水中だったら・・・。ためた力を解放するときにはバウが水中についうっかり沈んでしまっていることでしょう。ホントカ?!

 

 「ひねり戻し」「ため解放」「圧縮伸張」とかなんかこういう時に思わぬ力が出るもんなのかもしれません。抑圧された環境下ではきっと爆発してしまうんですね。適度なガス抜きのためにも、カヤックでたっぷり遊びましょう。

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