病人になった日
朝6時前。腹部の違和感で目が覚めた。横っ腹がなんだか痛かった。ちょっと早いので再び眠ろうと思ったけど、どうにも眠ることができなかった。
そのままずっと痛くて、しかも痛みの質が今まで経験したことのないタイプだったので、病院に行くことにした。まだ若いつもりだったけれど、生命線途中で切れてるしな、いろいろ片付けなきゃな、とか考えながらとりあえず会社に午前半休を連絡した。
いろいろ検査があるとアレなので朝食は取らないまま自分で車を運転して行きつけの総合病院へ。朝8時半の受付開始を待って、受付で相談した。何科になるのかよくわからなかったが、消化器科に通された。
消化器科の看護士さんに症状を説明して診察の順番待ち。横にならなくても大丈夫ですか?とおっしゃって頂いたが、そのときはそんなに痛いわけではなかったので椅子に座って待っていた。それからどのくらい待っただろう。30分も待ってないと思うんだけど、そのうちだんだん痛みがひどくなってきた。
こりゃやばいな、と思って、看護士さんに「やっぱり横にならせてください」とお願いした。案内されたのは救急の方の細いベッドがならんだところ。僕のサーマレストよりは広いかななんて考えながら、そこでしばらく一人で横になっていた。とにかく暑い。上着を脱いでも汗がだらだら流れてきた。じっとしていられない。勝手に唸り声が出てきたり、勝手に寝返りをしている。腹のあたりが痙攣というかヒクヒク勝手に動き始める。人間っておもしろい。意思に関係なく各組織が全体最適化に向かって動くのだ。そういう客観的な見方ができるうちはまだ余裕があるのか、それともやはり短い生命線の端っこを突き抜けて上から見ているのだろうか。
そのうち吐き気までしてきた。魂が口から出て行くときはこんな感じなんだろうか、とかは思わなかった。とりあえず手の届く範囲には戻しても大丈夫なグッズがないのでちょっと悩んだ。何かあったら呼んでくださいとは言われていたものの呼び出す方法もない。仕方なく、這うようにして部屋を出たら救急で処置中の看護士さんが見えたので何かグッズをお願いして戻った。
その看護士さんがグッズを持ってきてくれるのと同時に消化器科の方にも連絡してくれたらしく、ここまで連れてきてくれた看護士さんも来てくれた。それからしばらくして消化器科のお医者さんも来てくれて、背中をとんとん。響きますか?はい。尿管結石ですね。おーこれがそれかー。ちょっと安心した。まだ生命線の途中だったようだ。唸りながらもその場でCT検査の造影剤の承諾書にサインした。先日血尿で病院に来たときも同じもの書いたので、慣れたものである。
また別の看護士さんがやってきて、点滴をセットしてくれた。しばらくそこで点滴を受けたあと、痛み止めの筋肉注射をしてもらった。かなり痛いと言われていたけど全く痛くなかった。別のところが痛いからかね、いやいやうまいからですよー、なんて話をする余裕はあった。でも痛み止めの効果はあるのかないのか苦しいままだった。
その後、ストレッチャーが運ばれてきて、それに乗り換えた。ベッドが汗でぐっしょりだったようでびっくりされた。人生初ストレッチャー。それで院内を移動して、そのまま放射線科に突撃。今年3回目のCT。
造影剤を注射されて、カラダが熱くなってきた。この熱くなるのは前に経験したけれど、前と違ったのは、落ち着いてきていたあの激痛が再びひどくなったこと。造影剤には利尿作用があるのでそれのせいだろう、ということだった。
泌尿器科の診察ができるまで時間があったので、しばらく別の部屋で横になっていたら落ち着いてきた。そこではケータイを使ってもいいということだったので、ぼけーっと点滴のラベルを見て、それが何の薬かとか調べてみた。んでちょっと眠ったようだ。
泌尿器科の受診ができる時間になって、車椅子で移動となった。もう痛みも薄らいでいたので「自分で歩けますよ」と言ってみたものの、「いやいや石が動いて途中で痛くなったらいけんから」と言われた。あぁ、結石ってそういうものなのか。またいつ動き出すかわからない爆弾をかかえているということか。仕方なく点滴ポールを持って、車椅子に乗せられて泌尿器科まで押してもらった。車椅子に乗るのも初めての経験だった。
CTの結果を見せてもらった。白く光る小さな物体が見えた。まぁ小さいらしいので自然に出るのを待ちましょうということだった。石が出やすくなる薬と痛み止めの座薬まで処方してもらった。痛み止めが必要ということは、これからもまた痛むということなのか。あの痛みが海の真ん中や人里はなれた山の中で出てきたら大変だ。もう、これで今年の野外活動は終わりになるのだろうか。
実は、9月のシーカヤックを漕いだあと、なんか「これが最後」な気がしてたんよ。これから鮎釣りが落ち着き、自転車も熱中症の心配が少なくなる。だからたしかにシーカヤック以外の季節も到来、なんだけど、でもそのときは、まだ雪のシーズンになるまで3ヶ月もあるわけで、まさかシーカヤックが最後なわけないよな、と思っていたので口に出すことさえなかった。だけど、あの時はたしかに終わったー!な気分だった。もしかしたら、これのことだったのか。
そんなこんなで昼前に帰宅。結石というのは石の位置によって症状がぜんぜん違うみたいで、もう痛くなかったので昼から出社した。痛くないところに石がずっといてくれますように。とりあえず、旅先で発症しなくてホントよかった。海上で結石の痛みに悶えつつロールする練習はまだやってないしー。
こんな病気とかケガとかしてしまうと、せっかくの休日に遊べなくなってしまう。日頃から予防に努めないと時間があっても出かけられなくなる。自分の体調管理もできないようではリスク云々を語る資格はないなぁ。体調管理もリスクマネジメントの重要項目のひとつ。何も行動中のことだけではないのだーっなんて。
兎にも角にも、これからストーンホルダーとしての憂鬱な日々が始まるのであった。水分とカルシウムをたくさん摂って、予防につとめましょう。
朝は車を運転して行ったけど、運転中にひどくなったら事故のもと。やめておいた方がいいようだ。皆様もお気をつけくださいませ。横っ腹が痛いときはタクシーなどで。
追記もう治ったのでご心配なく!
コメント
ありゃ~!
尿管結石でしたかぁ~。
ボクもまだ経験していませんが痛いそうですね~(+o+)
石は音波かなんかで砕いたり薬で小さくしたり・・・とか聞くけど、
石はもう出たの?
ボクはちょうど一年前、大晦日、
沖縄へ旅立つ直前に福岡空港のトイレで、
真っ赤な鮮血の尿が出たときには覚悟しました・・・。
しかし、その後、尿も正常に戻り、何もありません♪
元気が一番ですが、体のメンテも必要な年齢ですわ。
キクチャンも、そろそろかな~?
お大事に。(治ってるそうですが)
大変な思いをされましたね。
文中にもありますが、「フィールドの中」じゃなくてよかったです。
「しばらくはゆっくりしなさい」ということでしょうか。
お大事にしてください。
わたしは結石のときも我慢できずに、救急車を呼んだんだった(^^;
動けなくなる数日前に腰が痛くなったのを覚えてます…。
後で聞くと尿管結石で起こる症状らしいです(^^;
そう言えば…石がいつ出たのかも気付かないまま(^^;
あれからもう何年経ったろう???
moujiさん
>ボクもまだ経験していませんが痛いそうですね~(+o+)
狭心症・陣痛と並ぶ三大痛のひとつ、らしいですよ。
悶えました。
>石は音波かなんかで砕いたり薬で小さくしたり・・・とか聞くけど、
大きいと尿管を通らないので砕くらしいですね。
幸い初心者なので(?)小さかったため薬だけで出ました!
>真っ赤な鮮血の尿が出たときには覚悟しました・・・。
最初に血尿が出たときは真夏のサイクリング後だったのですが、原因不明でした。
まさかこれだったとは・・・。
一年経って何もないってことは、大丈夫だったんでしょうね?
血尿の原因はいろいろあるみたいですので気をつけて下さい!
>元気が一番ですが、体のメンテも必要な年齢ですわ。
どうもその歳が来たようです。なんだか痩せにくくなりましたし・・・。
何時までも遊べるように病気やケガに気をつけましょう!
fusaiさん
>大変な思いをされましたね。
いやぁ大変でした!でもいい経験です。
話のネタがひとつ増えました!
>文中にもありますが、「フィールドの中」じゃなくてよかったです。
ホント、そうですね。即遭難ですよ。
>「しばらくはゆっくりしなさい」ということでしょうか。
たまにはインドアな生活もいいですね。
でも戻すのに苦労します・・・。
けんとさん
>わたしは結石のときも我慢できずに、救急車を呼んだんだった(^^;
あれは救急車で正解だと思います。
>動けなくなる数日前に腰が痛くなったのを覚えてます…。
>後で聞くと尿管結石で起こる症状らしいです(^^;
数日前ですか・・・。
僕の場合はその日でしたが・・・。
石の当たり所なんでしょうかね??
>そう言えば…石がいつ出たのかも気付かないまま(^^;
>あれからもう何年経ったろう???
クセになる人は何度もできるそうですが、けんとさんは
大丈夫だったみたいですね?