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カヌー転覆1人重体 倶知安

北海道新聞 社会 2006/05/26 14:06
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060526&j=0022&k=200605261167

 ダウンリバーでの事故のニュースが続いています。記事タイトルは重体となっていますが、記事の下の方に、その後お亡くなりになったことが追記されています。ご冥福をお祈りします。

 【倶知安】二十六日午前六時四十分ごろ、後志管内倶知安町比羅夫の尻別川で、同町山田に営業所があるアウトドア会社「トランスオービット北海道」(札幌)のインストラクター小林信幸さん(30)が、カヌーで川下り中に転覆したと、同僚から119番通報があった。

 カヌーって書いてますけど、カヤックでしょうね。この違いは大きいですけど、世間の人にとってはカヌーの方がわかるのでしょう。

 詳しいことは記事からは殆どわかりませんが、おそらく堰堤のキーパーホールに巻き込まれてしまったのでしょう。

 川アソビをしない人も見ているので簡単に説明すると、ホールというのは、川の流れに逆らった方向に回転する縦向きのうずまきと言ったらわかりやすいでしょうか??ズドンと落ちた水が下にたまった水にぶつかって一旦元に戻るわけですな。ってこれであってる?

 それでもって、一旦つかまると下に流れず、かといって上流にもさかのぼることなく延々とぐるぐる回り続けてしまう世にもオソロシイホールが「キーパーホール」です。

 例えば岩があって、それを乗り越えてきた流れは、岩の下でホールを作ります。でも、殆どの自然の岩の場合、そのうずまき具合は均一ではないので、上流向きにひっぱられる力も均一ではありません。仮に強いバックウォッシュ(逆流)につかまったとしても、そのうち右か左にいけば、ふつうの上流から下流への流れが強くなって、下流に流されてきます。

 ところが堰堤という人工物は川幅いっぱいにまっすぐ作られるため、そのホールの流れも川幅いっぱい均一なんですね。だから、左右どっちに行っても全て同じように逆流があって、一旦捕らえられると抜け出せません。これを「キーパーホール」といって、殺人兵器堰堤が生み出す川の恐怖のひとつです。

 川遊びをするようになると、あちこちにある川に目がいきますが、堰堤というものが非常に多いことに気付きます。川遊びをしない人は多分気付かないと思います。私も特に意識してませんでしたから。堰堤は、川の水を堰き止めて水をため、そこから水路を作って水田に水を流すための「小さなダム」です。それらのおかげでおいしいお米を食べられているわけですから一概に作るなとも言えません。

 しかしその人工の建造物が「不自然に」まっすぐなため、川の危険度を増しているわけです。だから、ふつうは堰堤があると、船を下りて担いで堰堤の下へ降り、そこで再乗艇するわけです。基本的に船を下りるものです。

 そんな水量でそんな危険な人工物を「カヌー」に乗ったまま下ったことを攻めるのか、川にそんな危険な人工物を作ったことを攻めるのか、それはいろんな立場でのものの言い方があると思います。どっちも悪いというのが正しいのかなぁ。

 カヤッカーは堰堤は船を下りましょう。そして、堰堤を作る人というか世間一般の人にとっては川は遊ぶところではないのであまり意識しないんでしょうけど、堰堤の設計をする人がいたら、今度から直線一本で作らないで欲しいなぁと思うわけです。

 一緒にダウンリバーしていたほかの人がロープを始めとするレスキューギアを持っていたか、持っていても使えなかったのか。生きている私たちは、他人事と考えず、こんなときに正しく事故回避できるか、救出できるか、よく考えないといけません。私にはできないかも・・・。でも、できないからこそ、そもそも事故を起こさないように自分の技術を越えたところには行かない、というのもひとつの選択肢だと思ってます。

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コメント

  1. fusai より:

    「イラストで見る究極の川下りマニュアル」を注文したばかりです。川の流れは複雑怪奇ですねぇ・・・

    危うきに近寄らず
    安全第一でいきたいと常々感じております

    最後の最後は、自己判断の世界。
    堰堤ほか「ん?」と思ったら早めの判断ですね。

    慣れないうちはさらに早めの判断でしょう。
    おいおい、そんなところもかい?
    これくらいちょうどよいのでしょう、きっと。

    ロール100%でない自分なら尚更です。

  2. quickturn より:

    水も暖かくなってきました。
    じゃかじゃかロールしましょう!

  3. けんと(^。^)y-。oO より:

    人工のものは危ない!ぐらいしか知識ないわたし…。
    まだまだ一人で…って考えないのが一番でしょう、わたしの場合(^^;
    すぐにいろいろ忘れちゃうけど、あそこは危ないから…の言葉は忘れないように心掛けます。

    しかしインストラクターが事故ってのがショックですね(^^;
    技術の問題もあるのでしょうけど、上級者だからこその余裕で…降りて欲しかったな~。
    ご冥福をお祈りします。

    けんと(^。^)y-。oO

  4. quickturn より:

    水があれば死ぬ危険がありますもんね。
    水と付き合う方法を少しずつ勉強していきましょう。

    しかしまぁ朝早くから下るんですねぇ。
    まだその時間はテントの中Zzzz

    119番にも転覆したとは言わないと思うけど。
    昨日何回転覆したことか・・・

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