台風被害で事前放流要望 岩国
中国新聞・地域ニュース '05/10/25
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200510250104.html
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委員は「ダムの放流が被害を大きくしたのではないか」と指摘。県は、「放流ゲートは堤体上部にあるため、貯水率が約八割になるまで放流できない」としたうえで、「ゲートより下にある放水量毎秒約二一トンの発電用放水口の利用を検討している」と説明した。
事前放水に対して前向きで、事前放水で一体どれだけの効果があるかということは別として、市民の声を聞いてくれているという点で評価に値するだろう。
委員側は周南、下松市の工場向けの送水管の活用も提案。「周南地域の川へも放流し、錦川の増水を抑えてほしい」と求めた。
この送水管からは、毎秒約五・三トンの放流が可能。非常時には、周南市の東川への放流ができるという。山口県の担当者は「企業局と相談したい」と答えた。
今回の水害ではMAXで毎秒492トンの放水が行われた。発電用21トンと工場向け送水管5.3トン、合計毎秒26トンの放水では、18倍の時間がかかる。
例えば平均毎秒100トンを8時間放水し続ける必要があるような降水を想定した場合、それを全て貯めようと思えば事前に30時間放水し続けておく必要がある。そんな事前には、これだけの降水を予測することは不可能だろう。
実際にはダムへの流入ピークを外して放水することができればよいので、全てを貯める必要もない。うまく使えるかどうかわからない事前放水手法とは別に、放水タイミングの検証を進めてほしい。
また、県は今回のダム放流による錦川の水位について「下流の岩国市の臥竜橋地点で約二十二センチ上昇したと推測できる」とした。
臥竜橋って180mくらいあるようだけど、それで22cmってことは、川幅60m程度の南桑では、3倍の66cmは水位があがるのではないか。もちろん流れる速さや地形など様々な要因が関係して、単純に反比例というわけではないだろうけれど。
臥竜橋ばかりでなく、被害の大きかった南桑ではどうだったかも情報として必要だろう。一体どれだけ影響があったのか。60cm水位が下がったら、被害はどれだけ抑えられていたのだろう。
次は、下流域の(菅野ダムによらない)洪水のピークと、菅野ダム・生見川ダムなどの最大放水の到達時間を検証して、さらに前向きな検討を進めて欲しいと願う。